ハリネズミの飼育

 ハリネズミは、自然界では昆虫、なめくじ、かたつむり、ミミズ、小さな脊椎動物、果実を食用としています。英国ではハリネズミは非常に価値のある動物で、ヨーロッパの国の中には法律で保護している国もあります。ハリネズミにとって、道を走っている車、穴熊、狐は大敵です。たくさんのハリネズミが庭の池で死にます。それはハリネズミが泳げないのではなくて、よじ登ることができないからです。

 大人のハリネズミの体重は800-1200gです。平均寿命は野性のものは3-4年ですが、飼われているものは10年も生きます。

 ハリネズミは夜行性の動物です。白昼に活動するのは健康でない兆候です。ハリネズミは一年のほとんどを単独で過ごします。

 繁殖時期は3-4月に始まり、長くて騒がしい求愛期間があります。妊娠期間は約5週間で、3-5匹の子が生まれます。出生時、針(刺)は白色で、水腫状の皮膚の中に隠れています。新しい茶色の針(刺)がすぐに現われはじめ、目の開く12-18日までには白い針(刺)はほとんど見られなくなります。子は固形食を21日目かそれより早い時期にとり始めますが、40日頃まで乳を飲み続けます。そのときには体重がほぼ230gになっています。母体からの免疫グロブリンの子への移行は乳を飲んでいる期間中ずっと続きます。遅い時期の子は8-9月に生まれます。

 直腸温は正常な状態では34-37℃です。冬眠は周囲の環境温度が9℃以下になると常に起こります。体温はそのときほぼ6℃に保たれます。真冬にハリネズミの目を覚ませても害はありませんが、目を覚ますのに2-5時間かかり、たくさんのエネルギーを使います。ですから、彼等は短時間に餌を食べ、水を飲む必要があります。ハリネズミは冬眠する必要はなく、暖かいところで飼育され、餌が与えられていれば冬眠をしません。野性のハリネズミでさえも冬眠はほんのわずかの短い期間であり、あったりなかったりします。ハリネズミは財布の紐のように働く輪状筋によって丸くなり、刺のあるボールになります。

 取り扱い方

ハリネズミの持ち方図1ハリネズミの持ち方図2 ハリネズミによっては丸くなったまま、頑固に元に戻るのを拒むものもいます。いろいろな人が丸まったハリネズミを元に戻す独自の方法を書いていますが、一番大事なことは鋭い駿音を避けることです。

 ひとつの方法は(図を参照のこと)丸まったハリネズミを平面に向かって頭を下にしてやります。(1図)
 そうするとハリネズミは大抵の場合、用心深く身体を元にもどして平坦な面に着地しようとします。(2図)
 そのとき、両方の後ろ足をやさしくつかみます。(3図)
 そうすると動物は後ろ足で保持され、動物が地面につこうと努力している間に調べることができます。(4図)
 腹腔内注射もこの位置で行うことができます。これは後ろ足の傷を調べるのに最良の方法です。

ハリネズミの持ち方図3

 丸くなったハリネズミをどんな方法を使っても元に戻せなかった場合には麻酔薬を使います。

 雄と雌の見分け方

 雄では包皮の開口部が腹部の中央に見られます。雌では陰門が肛門からわずかに薙れたところに見られます。新生子では包皮は肛門の近くにありますが、子が成長するにつれて前の方へ向かって移動します。精巣は生涯を通じて腹腔の中にあります。

 管 理

 大人の雌を捕まえて飼育することは、親が子から離れてしまうという危険性があるのでしてはいけません。一般的に、ハリネズミは病気に罹っているとか傷を負っている時には捕まえて飼育します。

 飼育施設:障害を受けたハリネズミは囲いを作った庭で飼育します。そうすることにより、そのハリネズミは邪魔者のいない居住区を持つことができますが、餌は補充してやらなければなりません。これは、野性では生きてゆけそうもないハリネズミを飼育するのに理想的な方法です。しかし、自然状態ではハリネズミの行動範囲は広く、繁殖力も旺盛なため彼等はしばしば囲いをよじ登って相手を探しに行こうとします。

 傷を負ったハリネズミは網の囲いの中で飼うことができます。そのときには網の上には20cmの張り出しを巡らせておきます。網の底部にも同じようなものを作っておきますと、ハリネズミが穴を掘って逃げ出すのを防ぐことができます。しかし、逃げ出そうと試みたために脚を怪我するかもしれません。また、網を20cmの深さに埋めてもよいのですが、こうしますと網を移動させることができません。動物が、乾燥した葉、干し草、新聞紙、その他のねわらの中で眠ることのできる場所を囲いの中に作ってやることが必要です。

 ハリネズミは室内用の小さなケージで飼うことができます。しかし、もしその動物がすでに飼いならされていない場合は、長い間餌を食べようとしません。ハリネズミは窮屈な環境では繁殖しません。ハリネズミは雌雄ともにとかく喧嘩しがちです。

 

 餌は可能な限り多様にします。ハリネズミは肉の多い家庭の食べ残しや缶詰のペットフードを躊躇なく食べます。鶏の死体は生でも調理済みでも喜んで食べます。骨は食餌の均衡を保つのに役立ち、また歯石を防ぎます。柔らかい果実、ナッツ、柔らかくした犬用のビスケット、パンの切れっぱしも与えます。牛乳で浸したパンはとくに幼若なハリネズミにとっては消化不良の原因となります。歯石は大きな問題です。大人のハリネズミは歯の検査とくに臼歯の検査が必要です。

 置き去りにされた乳飲み子

 鼻、口、肛門などの自然孔や目に、あおばえの卵やうじ虫がついていないかを調べます。乳飲み子は暖かくしてやります。代用ミルクとして良いのは山羊の乳と山羊の初乳を2容:1容の割合で混合したものです。ビタミンとミネラルも補充します。動物が非常に小さい場合には、3−4時間ごとに餌を与えます。食餌が終る度に、腹部と外陰部をマッサーンし、肛門はきれいにしておきます。缶ずめのペットフードは最初から与えます。ハリネズミは晩秋に離してやるまでには体重が最低450gに達していなければなりません。そうでなければ冬の時期に生き残れるチャンスは少ないのです。

Edited by Peter.H.Beynon/John.E.Cooper