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老年期のペット

−そのケアとヒント−

猫の絵

 かわいいペットの毛が白く変わり、元気がなくなったり、寝る時間が長く食事の時間になっても反応しなくなったりしたとき、体の中では何が起こっているのでしょう。私達人間が老いていくようにペットも老いていくのでしょうか。
そう、現実にすべての動物が「老い」を向かえ、元気だった体は衰えゆきます。飼い主にできることはその変化をよく理解し、長く豊かに生きる手助けをしてやることなのです。

 動物は人間と同じような過程をたどり老齢期に達します。例えば「毛は白くなり、持久力をなくし、感覚がにぶる」といったようにです。そして、腎臓病、心臓病、肝臓病、腫瘍、ガン、糖尿病、うつ病、アルツハイマー等の人を苦しめる病気に動物もかかります。

 ペットには様々な種類や個体差があり、その生活環境も違い、年齢から来る衰えは予測できません。よく言われるには、体の小さな種が大きな種より長生きで、猫が犬より長生きだということです。しかしあくまでもそれは通説で、寿命はその生活環境に大きく左右され、ペットが今どのような状況にあるかは獣医さんの診断にまかせましょう。

◆定期検診を受けよう

 ペットには年齢に応じたケアが必要です。どんなケアを受けるか、また、何を必要とするのでしょうか。

◎こんな症状に注意!

  • 気になるほど水を飲みだしたり、排尿が増える
  • 体重低下
  • 食欲がなくなり、2日以上何も食べず弱っていく
  • 食欲が異常に増した
  • 嘔吐を繰り返す
  • 3日以上続く下痢
  • 排泄がうまくいかない
  • あしを引きずる状態が5日以上続き、それが複数の足に及ぶとき
  • 明らかな視力低下
  • 一週間以上残る傷の痛み、その傷
  • 2日以上にわたって口臭が臭い、よだれを垂らす
  • 腹部のふくらみ
  • 動きがにぶく寝る時間が多い
  • 抜け毛、特に掻いてできたものと特定の場所にできるもの
  • 過剰ななあえぎ、息切れ
  • カリカリご飯が食べられない
  • 突然の衰え
  • 発作
  • 咳が続く(犬)
  • だるそうに息をしたり、すぐへばる(猫)

 老人病のケアは年一回の身体検査で発症や病気の進行を遅らせ、器官不全のような重大な病気の早期発見に役立ちます。ペットの一生を通しての定期的な検診は、獣医さんにとっても重要な診断基準となります。

 もしペットに慢性病のような重い病歴があるのならば、飼い主はより短い間隔での定期検診を行ってください。異常が見られない場合でも定期的なスクリーニングや獣医さんによる様々なアドバイス(体重や体調の維持方法等)は大いに役立ち、健康に満ちた老齢期を向かえることにつながります。

◆見えないハエを追いかけ回したら・・・

 年老いて五感が鈍ってきたとき、様々な刺激に対する反応も鈍ってきます。この感覚を失う速度は遅く、注意深く接しているつもりでも、その進行過程に気が付かないかもしれません。そういった進行を抑えるには元気よく遊ばせることと、五感を働かせるトレーニングをすることです。人間でも同じことが言えます。「使わない体は衰える」のです。

 年とともに精神面も影響を受けます。我々でも年を取ると物忘れをしたり、精神的に落ちつかなくなったりします。年老いたペットもまた、精神の葛藤を始めるかもしれません。例えば犬は「アルツハイマー」という痴呆症にかかることがあります。(猫もかかりうると疑われていますが、それが目に見えて分かるものか・・・)

 うつ病や心の病気には目立った症状があります。見えないハエを追いかけたり、怒りっぽくなったり悲しんでいるように見えるかもしれません。この他、どんな状態であれ、定期検診はペットがそういった病状に侵させる前の適切な処置へと結びつきます。

◆身体上の変化

 身体上の変化は五感の衰えより見つけやすいものです。痩せてきたり、運動能力が低下したり、怪我が治りにくくなったりします。もちろん、行動や体調の重大な変化に気づいたなら、獣医師に相談することが肝心です。犬も猫も老いゆく過程で様々なのサインをだしています。しかし、犬や猫はその患部まで我々に伝えられないのです。

 知ってのとおり、失禁は老いたペットの問題を深刻にします。犬や猫の腎臓は消耗がもっとも早い器官系ですので、ホルモン欠乏が腎機能に影響したとき、行儀のよかったペットが、しつけられたトイレの習慣を守れなくなるかもしれません。 寝ている間にも失禁したりし、家を留守がちな人はほんとに手に負えなくなるでしょう。

 そのうえ、過剰な排尿や失禁は糖尿病や腎不全になることも考えられます。もちろん、両方とも早期治療で改善されるものです。 また、そうなっても、かつてはトイレのしつけのできたペットが失禁したことを怒らないでください。理解してあげて、獣医さんの治療とアドバイスをきちんと受け入れてください。

◎老いたペットのために

  • 主な予防注射を続けてください
  • マットの毛を掃除してあげてください
  • 足の爪が伸びすぎないことと、すべりやすい平らな所は避けること
  • 水を十分に補給できる環境を作ること
  • なるべく室内で過ごすようにすること(特に厳しい天候下では)
  • 体重をまめに量り、その変化を記録しましょう

◆お年寄りを雪の中に送り出したりしないでしょ?

 老いは避けられないものです。しかし、老いる過程で生じる病気は食事制限や運動、定期検診で避けることができます。老いるにしたがってペットを室内で飼うことも重要なポイントです。なぜなら、初老のペットが自由に走り回れない状態にある場合、病気にになるよりも喧嘩や交通事故にさらされる危険性が高いからです。

 90歳のお年寄りを吹雪の中に出さないのと同じで、誰もペットをそのような環境に連れ出したくないはずです。たとえ彼らが一生外で飼われるとしても、天気の変化に応じて小屋を与えてやることは、健康と長寿に関わる重要なことです。
老いたペットにはそれぞれにあった栄養バランスの食事をとるための特別メニュー(繊維質で脂肪分の少ないもの)で、器官や年齢関連性の変化のみならず、病気の発達の危険因子である栄養消費を減らすことが必要です。

 老いたペットのために特別メニューの食事を用意してあげましょう。ペットにおける肥満は運動不足や栄養過剰の原因となり、心臓病等の病気の危険因子になります。 

 運動も老人病予防の手段のひとつであることはいうまでもありません。ペットが狭いおりに入れられていたり、寝たきりであったなら、彼らが年老いていくのは目に見えています。彼らの体調も悪化していく一方でしょう。適度な運動することで関節炎や衰弱した犬や猫をもう少し楽になるかもしれません。可能な範囲で元気に過ごすために、体も心も活力をなくしてはいけないのです。
老いたペットと幼い子供との接触は制限しなければならないことを忘れないでください。子どもたちの動きやせわしなさは目や耳に障害を持つ犬や動作に自信のない犬にとって脅威です。双方怪我をしないために、お互いのしつけがしっかりしていても、接触は避けることです。

 ペットは皆それぞれの体と環境を持ち、様々な変化に遭遇します。ダイエットのような、予防策はすべてのペットに必要とは限りませんが、行動と体調をよく観察し、異常があれば獣医さんに相談してください。ペットのおだやかな老後をみんなで手助けしてあげましょうね。


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