ハムスターの飼育

 ハムスターは小さなげっ歯動物で、この種類の野性のものは東ヨーロッパ、中東、北アフリカ、中国、シベリアで見られます。

 ハムスターの中でよく出てくる種類は、ゴールデン・ハムスター、チャイニーズ・ハムスター、ヨーロピアン・ハムスター、ジャンカリアン・ハムスター(ロシアン・ハムスター)です。このうちゴールデン・ハムスターがもっともよく飼育されており、情報も豊富です。野性のゴールデン・ハムスターは短くて太い赤茶色の被毛で被われています。現在飼育されているゴールデン・ハムスターは、もともと1931年にシリアから英国へ持ち込まれた1匹の雄と2匹の雌を祖先として全世界に広がりました。

 もっとも一般的な系統のゴールデン・ハムスターの毛色は、アグーチ(野性色で赤茶色が最も普通)、シナモン色、白色、雑色(ぶち)です。毛足は長毛のものが般的になってきています。

 飼育

 ケージの材質には、鋭い出っ張りがなくて、裂けにくく、強くて(逃走防止)、暖かさも簡単な温度調節器で上げることができるものが良いです。市販されているプラスチック製あるいはポリプロピレン製のケージがおそらく最も良いと思われます。ケージの形は靴の箱のように単純な四角いものでも、また、ケージ同士を管でつないで相み合わせのできるものでもどちらでも良いです。

 金属性のケージは噛りに対して強く掃除もしやすいのですが、どちらかといえば冷たいです。木製のケージは掃除がしにくく、ハムスターが噛ってできた木の断裂片によってハムスター自身が怪我をします。

 ハムスターの床敷は湿度を吸収しやすい材質のものを使います。おがくずがもっとも頻繁に使われていますが、ピートが良いという人もいます。床敷は有毒物質や病原菌で汚染されていないものを使います。掃除の回数はケージの大きさと中で飼われている動物の数、およびその大きさによって変わります。1週間に1回か2週間に1回の掃除が、衛生面と掃除によって動物を不安定にするというマイナス面とのバランスがうまくとれている回数です。

 また、ハムスターには巣作りのための材料が必要です。その巣はケージの特定の場所に作られ、ハムスターは日中その中で眠ります。これはこれから子が生まれるというときにとくに大切です。材料として、干し草、切り刻んだ紙、かんなくず、セルロース綿があげられます。脱脂綿は便秘の危険性がありますので使ってはいけません。また、より糸状の物からできている材質は、干し草のような自然素材のものや人工的な素材にかかわらず、脚に絡まって循環障害を引き起こすので注意をしなければなりません。

 ハムスターは19-23℃で飼わなければなりません。周囲の温度が5℃以下になると動作が鈍くなり、冬眠に入ります。体温は周囲の温度よりも1-2度上位まで下がり、心臓の博動および呼吸数がほとんどわからないほどにまで減少します。周囲の温度が上がると冬眠中のハムスターは急に目を覚まします。このため、常に新鮮な餌が得られる状態でなければなりません。

 相対湿度は55±10%で、ケージの中の環境が極端に変わらないようにすることが大切です。

 ハムスターは夜行性動物ですから、明るい照明は必要ありません。最大350-400ルクスで十分です。ハムスターは騒音に対しても敏感です。

 雄のハムスターは自分の縄張りに、背中にある分泌腺(臭腺)から分泌物を出して匂いをつけます。ケージをあまりにも掃除しすぎると、そのことが動物に対して直接のストレスになると同時にまた縄張りを示すマーキングも乱すことになります。

 

 ハムスターは一般にラットやマウスのような小さなげっ歯動物と同じ餌、あるいはラットと兎の餌を合わせたものを食べると考えられています。しばしば、ハムスターは豊富な量の野菜、あるいは、ひまわりの種または、野菜とひまわりの種を一緒に、といった均衡のとれていない処方の餌が与えられています。

 ハムスターはほかのげっ歯動物と違って、はっきりとした前胃があり、そこで消化のための予備発酵が起こります。これによって蛋白質と炭水化物の分解が促進されます。しかし、ミネラルとビタミンが必要であると言われています。大人のハムスターは雄も雌も一日に5-10gの餌を食べますが、その中には蛋白質が16-20%、炭水化物が60-65%、脂肪が5-7%含まれていなけれぱなりません。

 実際は、ハムスター用に作られた固形飼料(ペレット)で十分で、種子、穀粒、果実、緑色野菜を補充しておきます。しかし、栄養の取り込みのバランスを崩さないように注意します。病原菌で汚染されている新鮮な餌は薄い抗生物質を含んだ溶液で洗って、さらに水で洗った後に与えます。りんごやレタスは親が子を食べるのを効果的に防ぐと言われています。

 餌は金属製、プラスチック製、セラミック製の入れ物あるいはケージの側面や床のホッパーに入れて与えます。ハムスターは床から餌を食べるのを好みますし、これで十分です。餌が糞で汚染されることはもともと食糞する動物にとってはそれほど大した問題ではありません。食糞することによってビタミンBとKの吸収が高められます。

 新鮮な水を自由に飲めるようにします。大人のハムスターは一日に約30mlの水を飲みます。水を与える方法としてもっとも簡単なものはケージの側面あるいは上にガラス製またはプラスチック製の給水ビンに水を入れて与えます。金属性の給水管をつけて、その先が離乳期の子でも飲めるほどの高さにします。ガラス製の給水管はかみ砕かれるのでやめます。

 取り扱い方

 ハムスターを無理やりに抑え込むと噛まれる危険性があります。ハムスターはびっくりさせられたり、痛いめに合わせられたり、しっかりと持たれず居心地が悪い時に噛みつきます。ケージを変えたり、臨床検査の様な痛みをともなわず、またストレスにもならないような操作を行うときには、ハムスターを、両手を茶碗のようにした中に持ちます。ハムスターは両手の暖かみで眠り続けるものもいます。もっとしっかりとつかむためには、親指と人さし指でハムスターの襟首の皮膚を十分につかみます。手袋の使用はしっかりとつかめないのでよくありません。

 静かに、かつ慎重に近ずいたにもかかわらずハムスターが攻撃的な姿勢で構えている場合は、清潔な細い缶のような入れ物を使ってハムスターを移すことができます。麻酔薬を使う方法もあります。

Edited by Peter.H.Beynon/John.E.Cooper


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